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2020年7月26日日曜日

The story about “Shin Musume”

 I was asked by my friend on Facebook that what is the story about “Shin Musume”‘s bell, a monk, and a snake. So I tried to write.

Facebook上の友人から、「新娘道成寺」の鐘や僧侶、大蛇の物語について訊ねられたので、書いてみることにしました。

[A prequel story 前日譚] 
In the early 10th century, a young monk came to Wakayama. His name was “Anchin”, and he was very handsome.
10世紀の初め、若い僧侶が和歌山にやってきた。彼の名は「安珍」で、とても美形であった。

When he rented an inn on the way to Kumano, the young daughter fell in love with him at first sight. Her name was “Kiyohime”. She proposed, but Anchin lied "I’ll leave, and return from Kumano" to refuse.
彼が熊野への道中に宿を取った時、若い娘がひと目見るなり彼に惚れ込んでしまった。彼女の名は「清姫」で、結婚を申し込んだが、安珍から「熊野へ出発する。帰り道に寄るから」と嘘をつかれ、断られてしまった。

But he didn’t come back, so Kiyohime got angry. She chased Anchin and caught up, but he lied again “You have mistaken me for someone else “. She was very angry, transformed into a snake and chased him again.
しかし、彼は帰っては来なかったため、清姫は怒ってしまった。彼女は安珍を追いかけて捉えたが、安珍は「人違いではありませんか」とまたもや嘘をついた。清姫は怒りに震え、蛇に化身し、再び彼を追いかけたのだ。

He crossed the river, and escaped to “Dojoji” temple. He hid in the bell, but the snake found him, and burned him to death with a bell. That snake also entered the river and committed suicide.
彼は川を渡り、道成寺に逃げ込んだ。鐘の中に隠れたが、蛇に見つかってしまった。そして鐘ごと焼き殺されてしまったのだ。蛇もまた川に身を投げてしまった。

[Noh’s “Dojoji” story 能「道成寺」の話]
After that, a dancing woman came to Dojoji. Her name was “Hanako”. At that time, because of that incident, the temple was forbidden to women. But she went into the temple and danced. In fact, she was Kiyohime's ghost. Finally, she went under the bell, and it fell down on her, then she turned into a snake. The snake was very angry and struggled, but the monks prayed and the snake fled to the river.
後に、ある白拍子が道成寺にやってきた。名前を「花子」といった。その時、事件の影響により、寺は女人禁制となっていたのだが、彼女は境内に入り、舞を舞った。実は、彼女は清姫の怨霊だったのだ。最終的に彼女は鐘の下に行き、それは彼女に落下して、白拍子は蛇に化身した。蛇は大いに怒って暴れたが、僧侶たちが祈祷し、蛇は川へと消えていった。

[About Jiuta’s “Shin-Musume-Dojoji”]

This story seems to be a famous for Japanese people in the Edo period. So lots of “Dojoji-mono”, which are works inspired by these stories, had made.
この話は江戸時代の日本人にとって有名な物語だったようで、たくさんの「道成寺もの」つまりこれらの話に影響された作品群が創作された。

“Shin-Musume” is one of them.
In fact, the lyrics don’t include these stories, almost. There are lots of words, expressing jealousy and complex feelings about women for men. In Edo period, the Japanese probably recalled “Dojoji” story, when they thought about women’s love.
「新娘道成寺」もその一つだ。実のところ、歌詞にはこれらの物語が殆ど含まれていない。歌詞には、女性の男性に対する嫉妬心や複雑な心境が綴られている。江戸時代、日本人は女性の恋心について思いを馳せる時、「道成寺」の話を想起したのだろう。

※If there are some mistakes in this English article, please tell me the correct words or sentences.

2020年3月19日木曜日

利道さんの竹について

皆様、動画のご視聴、どうもありがとうございます。
今回の動画はこれまでの動画の中で一番再生回数の伸びがいいみたいで、YouTubeからそういう通知が来たり、チャンネル登録やメッセージを頂いたりしました。世の中がこういう事態で、不要不急の外出を皆様控えられているからでしょうか?かくいう僕も、クルマを洗ったり、息子の靴を洗ったり以外は、週末は一歩も外に出ませんでした。早く収束して欲しいものです。

さて、実は頂いたメッセージの中に使用楽器についての問合せがありまして、僕は初めて竹の重さをはかりました。387gだそうです。竹の重さは、中に塗った「地」の重さも含まれるので、これだけで竹材の質などの目安にはならないようにも思いますが、僕の楽器は重すぎず軽すぎず、まあ7〜8号くらいの細目ではない楽器にしては自然な重さかなと思います。

以前ブログやFacebookでも話題にしたかもしれませんが、この竹は熊本は阿蘇高森にお住まいだった、利道道仁(りどうどうじん)師の作になります。僕が九州に帰郷する際、「新しい楽器が欲しい」と思い、大学時代に何度かお会いした利道さんにお願いしたのでした。利道さんは熊大のOBに何本か尺八を作って下さったり、横山勝也師の竹心会系統の方も時々使ってらっしゃったりしています。竹仙全盛期のころ、熊本から大阪に出て修行?というか研究なさって尺八の作り方を学ばれたそうで、円定吉のような所謂なビンテージ琴古管の系統ではありません。穴割りも「十割でお願いできませんか?」と頼んでも「それはすみませんが無理です」とのことで、利道さんの穴割り・調律になっています。ただ、現代管のような「ビィィイーーーンッ!!」みたいな音色ではなく、素朴で柔らかめの音色や吹き心地が僕の好きな阿蘇山を彷彿とさせ、気に入っているところです。琴古流本曲の特殊技法などは、全てちゃんと出せます(ただし、二三のウはちょっとクセがあり、2孔をちょっとかざしています。)。残念ながら、利道さんは数年前に亡くなってしまいました。一度、中継ぎの上のところにうっすらヒビが入り、一本巻いて修理して頂いたのが最後でした。個人的に巻くのは好きではないので迷いましたが、割れが広がるのも怖く、思い切って修理して頂きましたが、今振り返ると正しい判断だったと思います。

実はこの楽器に関しては、師匠がお気に召さなかったようで、何度か「音が人の心を掴めないから、変えた方がいい」「その楽器が足枷になって伸びない」と言われたことがあります。師匠は古管か、それをモデルにした現代管の方がいいと考える方でした。実は僕ももともと古管の音色が好きで、一時期四郎管の本当にいいのを吹かせてもらったこともあり、そうした素晴らしさについては感じています。ただ、古管はオールドでビンテージなだけに、「エンドレス」になるんですよね…。例えばいい四郎管を頑張って手に入れたとしても、次に「さらに良い」四郎管や琴童管があると「そっちの方がいいんじゃ?」となってしまいやすい。古管ゆえのクセもあって、しかも勝手にいじりにくい。…そうした現象を相当目の当たりにしてきたので、僕はだんだん「やっぱりオーダーメイドした新品の方がいい、そしてその一本を生涯かけて使い続けて、年寄りになったころに『古管』になるようにしてみたい」と考えるようになった訳です。(古管一本をずっと使い続けておられる方もいらっしゃいますが)

クルマも、父の影響と思いますけど「これ!」と思った一台を乗り続けたいと思う方です。僕のレガシィ 2.0iって、ターボじゃないし、これより速かったり性能良かったり高級仕様なクルマなんてゴマンとあります。でも、僕にはこの2.0iこそが、26歳から縁のある大事なクルマだし、なるべくずっと乗り続けたいんです。

話が逸れましたが、別に僕はあれこれ竹を変えたり古管を使うことを否定している訳ではありません。ただ、僕自身は新品で買った一本をずっと使い続けたい、そして縁があったのが利道さんの竹だったというわけです。

上に書いたような事情で、数年前までは「やっぱりこの楽器の音って、ダメなんだろうか…」と気持ちが落ち込んだりすることもありましたが、ここ数年、YouTubeやFacebookの動画について「いい音色だが、誰の作った竹なの?」という問い合わせを、主に海外の方から頂くことが時々あります。「手前味噌」じゃないですよ。やっぱり、利道さんの楽器を選んだのって、間違いじゃなかったのかな、と思えるようになって来たんです。故人の名誉のためにも。まあ、マイクとスピーカー経由の音なんで、生音を聴いてもらっての判断ではないんですけど。実際のところ、どうなんですかね…???

そういえば、高校の頃ハマった、Queenのブライアン・メイも、ティーネイジャーのころ父と2人で自作した一本を、未だに使い続けてますよね。本当にいい音色でカッコいい。あれって、ギターの常識からはかけ離れた構造をしているそうじゃないですか。でも暖かみのあるふくよかな音色に最初から美しいビブラート、素晴らしいですね…

五郎先生の音とブライアン・メイのギターの音色って、良さが似てる気がするんですよ。「曲線美」のなかに、暖かみのある音色、しかしその中心にはしっかりとした芯がある。倍音のつき方が独特ですよね。…ああいう音色を目指して、毎日練習に励んでいます。



2020年1月4日土曜日

「尺八の作り方」ビデオ

これ、面白いです!バンブーさんの「尺八の作り方」ビデオ。90年代頃の映像でしょうか。
それぞれの工程を分かりやすく撮影(しかも、YouTubeなんか無かった時代に、こんなに「ぶっちゃけ」で!)され、しかも軽妙かつ時々笑えるような楽しい語り口で、最後まで飽きずに見ることができました。下巻の最後の方の話なんか、この時代にバンブーさん達が語っておられたことに、もっと多くの人が耳を傾け、その意味を真摯に考えるべきだったと思います。そういうのをしなかったからこそ、こんなに面白い楽器や文化なのに、ここまで滅びてしまったんでしょう。
それから、大体の尺八作りの工程は本などを見て知っていましたが、動画で見ると改めて尺八作りというのは大変な手間がかかる事、自分の持っているこの一本を大事にしないといけないなと思いました。
バンブーさん、どうもありがとうございました。




2019年1月6日日曜日

福岡市総合図書館エントランスホール 新春 アフタヌーン邦楽コンサート

昨年末にブログ上でもご案内させて頂きました、新春邦楽コンサートは、おかげさまでたくさんの方にご来場頂き、無事終了致しました。

足をお運び下さいました皆様に御礼申し上げると同時に、この機会を頂いた重兼さん、谷本さんにも感謝いたします。


動画は、山口が演奏した「巣鶴鈴慕」です。
やはり動画の収録と違って、「本番」には独特の緊張感があり、ちょっと後半は固くなってしまった自分がいました。本番の経験を積むことは、何事にも代え難いことですね。

実家から母も駆け付けてくれ、聴いてくれました。ありがたいことです。


2018年11月20日火曜日

新春邦楽コンサート(福岡市総合図書館)出演のお知らせ

来たる平成31年1月6日、福岡市総合図書館(早良区百道浜)で開催されます、新春邦楽コンサートに出演させて頂くことになりました。

琴古流尺八奏者3名(重兼正道、谷本 史童、山口 翔)による、古典本曲の世界をお届けします。僕は「三谷菅垣」「巣鶴鈴慕」「雲井獅子」の3曲を演奏します。

重兼さんは竹心会系、谷本さんは童門会の芸系ですので、同じ琴古流ではありますが、三者三様の展開となりそうです。もしお時間がありましたら、ぜひ足をお運びくださいませ。


2018年10月15日月曜日

堀井小次朗作曲「ひとみ」(映画『二十四の瞳』挿入曲)

10月5日、Facebookでお知り合いの中国の尺八愛好家、唐言周子さんの投稿をシェアさせて頂いたご縁で、堀井小次朗作曲「ひとみ」に挑戦する機会を得ました。


実はその前日、スペインの尺八奏者、 Rodrigo Rodriguez さんが投稿された、「二十四の瞳」の演奏動画を拝見したのです。



連続して翌日の唐言さんの投稿で、ご縁を感じ、まずは琴古譜を作成しました。






譜面作成にあたっては、関西在住のとある琴古流尺八家から資料を見せて頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。さらに、その後も、Facebook上でたくさんの方が、ご自身の習われた譜面を公開して下さったり、曲に対する熱いコメントを書き込んで下さったりしました。僕の知らなかったこの曲が、こんなにもたくさんの尺八奏者に愛されていたということに、驚きました。

というのも「二十四の瞳」は、日本の有名な映画の一つだといえると思いますが、その音楽に尺八が使われていたこと、そして作曲が堀井小次朗師であること自体を初めて知ったのです。
しかも、それを知ったのが、海外のお二人の尺八家のおかげだというのも、とても印象深いことでした。

七孔尺八らしい音の滑らかなつながりや、民謡のような装飾音の入り方が、僕としてはとても新鮮です(自分は5孔で演奏しましたが)。「尺八本曲」「地歌箏曲」以外に、中々「日本の魂」を感じることができる尺八独奏曲を見つけることができなかった自分にとって、この楽曲はとてもインパクトがある作品でした。

琴古流にはない、流れるような連続音や、転ぶような装飾音の連続が印象的です。

いつも同じところばかり使っている脳の回路が、新鮮な刺激を受けています。


2018年5月12日土曜日

YouTube演奏動画を投稿してわかったこと

おかげさまで、YouTubeにアップした動画のうち、昨日(5月11日)に「六段」が、本日(12日)に「web尺八セミナー・黒髪」が、視聴回数1万回を突破しました。
視聴してくださった皆様、本当にありがとうございます。



さて、それを記念して…というわけでもないですが、僕がYouTubeに尺八の古典曲をアップし始めて気付いたことを、ちょっと話題にしてみたいと思います。


まず、僕がアップした楽曲については、以下のようになっています。

1、「web演奏会」(最初期)
まだ「演奏動画」ではなく、「演奏録音に写真を貼り付けてスライドショーにしたもの」です。自宅で演奏できなかった時代に、演奏をYouTubeにアップしようとして作りました。
曲目:一二三鉢返調、虚空鈴慕、鹿の遠音、夕暮の曲、六段本手替手合奏

2、「web演奏会」
琴古流本曲全曲を10分程度に抜粋して収録した「10分で琴古流本曲」シリーズと、外曲を数曲、素吹き(尺八のみ)にて演奏しました。
曲目:琴古流本曲全36曲、六段、八千代獅子、千鳥本手替手、岡康砧、さらし、茶音頭、末の契

3、共演者との演奏動画
筑前琵琶との合奏、都山流尺八奏者との「夕顔」の吹合せ、「鹿の遠音」等の琴古流奏者同士の共演など

4、ライブ映像
虚空鈴慕、鹿の遠音、真虚霊等

5、ジョイントweb演奏会
小鳥の歌(宮崎紅山さん)、秋の七草、千鳥の曲(大庫こずえさん)、黒髪(東啓次郎さん)、鹿の遠音(中村 建さん)

6、その他
ラジオ体操、福田蘭童曲、web尺八セミナー、古典本曲・鈴慕…



これらのうち、平成30年5月12日現在で視聴回数ベスト3が、

1、六段(素吹き)10,054



2、web尺八セミナー「黒髪」10,010



3、ジョイントweb演奏会「千鳥の曲」(大庫さんと)9,520

となっています。


続いて、
4、八千代獅子(素吹き)4,231
5、一二三鉢返調3,329
6、ジョイントweb「黒髪」(東さんと)2,435
7、夕顔(猿渡伶山さんと都山・琴古吹合せ)2,169
8、ジョイントweb「秋の七草」(大庫さんと)1,610
9、滝落の曲1,600
10、ジョイントweb「小鳥の歌」(宮崎さんと)1,596

以上がベスト10です。

ちなみに、「視聴回数1000以上」は、この他に

六段本手替手(スライドショー)1,247
秋田菅垣1,161
鹿の遠音(スライドショー)1,145
九州鈴慕1,040
がありました。




さて、これらの楽曲には、公開してからの時間差があり、視聴回数だけでは単純に考察できないところもありますが、それでも傾向として読み取れることがあると思います。


まず、「本曲よりも外曲の方が見てくれている」というのがあります。
それから、「ジョイントweb」などの「共演もの」は視聴回数が伸びる傾向があるようですね。

そして何よりも、ズバリこの結果から言えることは「初傳曲の有名曲で、みんながよくやる曲が視聴回数が多い」ということが言えるのではないでしょうか。


その理由は、やはり「音源」としての利用が最も多いからなのではないでしょうか。奏者の心情としては複雑なところですが、どうしても三曲の古典は「鑑賞対象」というよりも、「やっている人のための音楽」なんですね。それは、以前の記事「「日本版パトロン制」としての家元制度」に述べた考察とも関連すると思います。

つまり、「尺八の古典をやっている人」の中で、最も演奏される機会が多いのが「初傳の有名曲(六段、千鳥、黒髪…)」であるため、それらのアクセスが多いというわけです。すると、本曲の中で「一二三鉢返調」が最も視聴回数が多いというのも、うなずけますね。本曲の中で最初にやる曲ですから。


あと、それ以外に気付いた点としては、以下のようなものがありますので、箇条書きにしてまとめておきます。

・演奏音源に写真をつけたものよりも、奏者自身が演奏している姿が映っている動画の方が視聴回数が増える。
・一人で多重録画した「本手・替手」合奏は、あまり視聴回数が伸びない。
・普段着の着物だと、紋付よりも視聴回数が落ちる。
・公開日は平日、それも木曜日あたりが、視聴回数が増えやすく、土日だとそこまで伸びない(「リアルが充実」しているときはあまりYouTubeを見ないため?)。同じ理由と思われるが、年末年始もあまり視聴回数は伸びにくい。
・ひと月に2回以上の動画公開をすると、新鮮味がなくなって視聴回数が伸びない。
・琴古流本曲の中で視聴回数が伸びやすいのは、一二三鉢返調、滝落の曲、秋田菅垣、古伝三曲、夕暮の曲、巣鶴鈴慕、三谷菅垣、鹿の遠音。…やはり、人気曲が伸びますね。

2017年8月17日木曜日

而今の会、ついに前日!!

いよいよ明日が、而今の会前日です。

本日長野県入りし、午前中は「ジョイントweb演奏会」で共演した、
北海道大学、大学院生の中村 建さんを訪問しました。

「みだれ」本手・替手合奏などを吹合せしました。




午後は、東さんとJR岡谷駅で合流し、駒ケ根の大庫さんのお宅へ。
詳しくは、「而今の会ブログ」の
【而今の会・本番前日!!】H29.8.17
をごらんください!!



明日が本当に楽しみです!

2017年6月25日日曜日

最初の師匠が亡くなりました。

私の恩人、尺八を始めるきっかけを作って下さった最初の師匠、都山流尺八の来田笙山師が、平成29年6月23日に亡くなりました。89歳でした。

この方が勧めて下さらなかったら、今の私はありません。この上ない感謝とともに、謹んでご冥福お祈り申し上げます。



写真は、今年4月に訪問した時の写真で、生前最後のご訪問となってしまいました。



24日(土)、お通夜に行ってまいりました。

お通夜の最後に、ご挨拶と献奏をさせていただきました。ご挨拶のために今までの人生を振り返ると、大学の部活、大学時代にお知り合いになったたくさんの方々、関西に移って修行時代に出会った方々、関西移住がきっかけで就職、結婚、妻も大学時代の学生邦楽の知り合い…と、現在の自分の立ち位置のすべての原点が、この尺八を初めて教えてくださった来田先生のおかげであるとあらためて気付き、そのようなご挨拶をさせていただきました。献奏は、来田先生に初めてお習いした古曲で、4月に最後に生前にお会いした時に先生の前で合奏練習をさせていただいた「黒髪」を演奏させていただきました。

25日(日)の葬儀では、冒頭に奥様の箏の御社中や、先生と同門の都山流師範の方々とご一緒に「六段」を、そして葬儀が終わって出棺の前に、ご挨拶と琴古流本曲「真虚霊」の献奏をさせていただきました。「真虚霊」の演奏のために席を立ち、尺八袋を紐解くとき、その紐の結び方、中継ぎの抜き差しの仕方を、初めてのお稽古の日にお習いしたことを思い出しました。23年経った今でも、この二つは来田先生に習った通りに続けています。ご挨拶では、そのことをお話しさせて頂き、まるで昨日のように思い出されること、こうして現在も続けさせて頂いている感謝の気持ちを述べさせて頂きました。「真虚霊」も、気持ちを込めて一生懸命演奏できたと思います。来田先生には安らかに旅立って頂きたいと心からお祈り申し上げると同時に、こうして若い頃から尺八に邁進するチャンスを頂いたことに深く感謝し、尺八界の活性化のために頑張って行きたいと気持ちを新たにしたところです。

2017年2月27日月曜日

【ジョイントweb演奏会:中村 建・山口籟盟】琴古流本曲『鹿の遠音』

【ジョイントweb演奏会:中村 建(北海道)・山口籟盟(福岡県)】
琴古流本曲『鹿の遠音』

Facebookでお知り合いになった、北海道大学の中村 建さん(琴古流尺八荒木派)と、福岡県在住の山口籟盟(琴古流尺八竹盟社)による、「オンラインでの共演」です。

中村さんとの出会いは、昨年夏にたまたま出会った『八段』のYouTube動画でした。北海道大学邦楽研究会の夏の演奏会の映像で、あの難しい『八段』の尺八を「この人は琴古流の専門家か!?』というような説得力のある技法と音色、合奏技術で演奏されていて、驚愕した覚えがあります。他に動画がないかと検索してみると、『四季の眺』などの動画もあり、『八段』と同様に素晴らしい演奏でした。また大学3年生のときの定期演奏会では『残月』を披露され、1曲を暗譜による気迫の演奏で通されたのには「圧巻」の一言につきるものがありました。さらに、年を越して今年の1月には琴古流本曲の演奏動画も公開されるなど、学生さんとは思えない古典の演奏力を発揮され、精力的に活躍中です。

中村さんは長野県のご出身で、琴古流荒木派のお父様に師事されたとのことで、幼少期より古典の素養を身につけた端正な尺八を吹かれていたという話も耳にしました。地元の高校を卒業後、北海道大学に進学され、有島武郎の研究をされているということで、日常を和服で過ごされたり、旧漢字・旧仮名遣いを使用されたりするなど、自分との共通点も多く、「ああ、学生時代に出会っていたら、きっと気の合う友人としていろいろ交流できただろうな」などと思ったりしました。Facebook友達になってからも、尺八を始めいろいろな話題でメールが盛り上がり、「ジョイントweb演奏会でご一緒にいかがですか?」とお誘いしてみたところ、快諾していただきましたので、琴古流本曲の代表曲『鹿の遠音』の吹合せをさせていただきました。

以前、中村さんの動画をFacebookでご紹介させていただいた時も触れましたが、中村さんの芸は琴古流の中でも「荒木派」といって、戦前の名人として名高い3世荒木古童の芸系となります。飾らない気骨あふれる音色と、流麗なアタリやスリといった技巧が組み合わされ、今ではなかなか聴くことのできない、琴古流古来の伝統の技が平成の現代に至るまで脈々と受け継がれてきた貴重な本曲です。学生邦楽や若手奏者には、管楽器としての尺八奏法に秀で、洋楽の知識も深く、本当にお上手な方がたくさんおられます。しかし、この中村さんのように、幼少期からの古典の素養と高い演奏力を持った、こうした古来の琴古流の技を、この若さで実現できているというのは、本当に稀有な例なのではないでしょうか。

中村さんとも、何度もメールで音源のやりとりを行いながら「オンライン下合わせ」を重ね、曲を仕上げていきました。「鹿の遠音」は「掛け合い」の形で2管の尺八が交互に演奏をしていく形式のため、それぞれの演奏をどのタイミングで重ねていくかなども、パソコンによる音源の合成操作を重ねながらあれこれ試し、合奏を作り上げていきました。また、年始には郷里に帰られたタイミングでお父様との合奏の音源を送ってくださり、大変勉強になりました。お父様には、この場をお借りして御礼申し上げます。掛け合いの回数やタイミングは、荒木派の方法をベースにしています。

今回の「オンラインの共演」は、九州と北海道という、日本でも地理的に最も離れた2人の奏者による「鹿の遠音」となります。しかし、場所は離れていても、琴古流本曲に対する熱い思いをしっかりと共有でき、本当に楽しい共演をさせていただきました。中村さんには、今後ともますます研鑽され、ぜひともご活躍されますよう、心より応援申し上げております。どうぞご視聴よろしくお願いいたします。

~共演者・中村 建さんよりコメント~
昨年より山口様は「オンライン共演」に取り組まれてをられますが、この度「鹿の遠音」を演奏するに當たつて私のごとき未熟者をお誘ひ頂き、誠に難有うございました。これまでの「オンライン共演」の曲目とは異なり、拍節が一定しない(或いはない)「鹿の遠音」を「オンライン共演」の形で演奏するのは、色々困難もあるやうに感じました。今後、色々研究が必要かと思ひます。是非とも山口様と直接お會ひして合奏出來る機會があれば幸ひです。




2016年11月13日日曜日

【ジョイントweb演奏会:宮崎紅山&山口籟盟】『小鳥の歌』

【ジョイントweb演奏会:宮崎紅山&山口籟盟】
『小鳥の歌』(宮城道雄作曲)尺八二重奏ver.
FB上でお知り合いになった、長崎県在住の宮崎紅山さん(都山流尺八)と、福岡県在住の山口籟盟(琴古流尺八)による、「オンラインでの共演」です。

宮崎さんと山口は同い年(S57生)でともに九州出身であり、都市部で修行(宮崎さん→東京、山口→関西)後、帰京し地元で活動する等、経歴も共通項が多いことから、「いつか共演してみたいな」と思っていました。しかし、福岡と長崎は近いようで意外に遠い場所にあり、なかなか行き来できない。それならば、インターネット上に、お互いの演奏動画を合成してアップすれば、「オンラインでの共演」にならないかと考え、お誘いしたところ快諾してくださり、今回の企画が実現しました。

曲は宮城道雄作曲の『小鳥の歌』で、本来尺八二重奏に箏の伴奏がつきますが、今回は尺八二重奏のみの演奏となります。

まずは双方で練習を開始し、メールでお互いの録音をやりとりしたり、パソコンで音を重ねて確かめたりしながら曲作りをしていきました(オンラインでの下合わせ)。次に、最終的に出来上がった録音での合奏を聞きながら、それぞれの演奏動画を撮影しました。最後に、二つの動画を合わせて完成となりました。


今回の企画で自分なりに大きな成果と考えているのが、「お互い自分の地元にいながらにして、インターネットを媒介として共演することができた」ということです。この方法を使えば、日本中の離れた地域に住む人どうし、もっといえば世界中の人との共演も可能です。実際には会ったことのない遠く離れた地に住む人とも、音楽的な趣向が合えばネット上で共演できる。特に純邦楽の共演者探しそのものが大変な地方在住の奏者からすれば、面白い試みではないでしょうか。


和楽器・純邦楽の表現方法の一つの形として、発表してみたいと思います。ご視聴、どうぞよろしくお願いいたします。


~共演者・宮崎紅山さんよりコメント~

“Web上”での合奏という山口さんからのご提案をいただいた際、正直暫く悩みました。演奏は生で!liveで!とこんなにも頑なに思っていた自分に気づかされた瞬間でした。この企画を一緒にさせていただき、ネットというツールでより多くの人と、世界中の人と、一緒に音楽を楽しむ可能性に(ちょっと遅かったかもしれませんが)気づかされました。山口さんに、感謝~🎵



2016年5月29日日曜日

猿渡伶山氏と、都山・琴古の吹合せ



本日は、久留米市共同ホールにて、都山流尺八演奏家の猿渡伶山氏と、都山・琴古の吹き合わせを行いました。

曲は「夕顔」。まるで、あらかじめ二重奏として作曲されたかのような合奏になりました。都山流と琴古流の地歌箏曲の手付けの違いも、このように一緒に合奏する楽しみ方もあるなと、改めて尺八の楽しみ方の幅広さが感じられました。


2016年5月7日土曜日

GW後半は広島へ

GW後半は、妻の実家のある広島へと帰省しました。

その際、Facebookでお知り合いになった広島の上田流尺八家、井崎尚風さんとお会いして、ご一緒に吹き合わせをさせて頂いたり、尺八談義をさせて頂いたりしました。

昨年Facebookを始めて以来、これまでとは違った形の出会いを沢山させて頂いております。本当にありがたいことです。こうした出会いが、尺八界、邦楽界の広がりに少しでも役立てば幸いです。

井崎さん、連休中にも関わらず、ご一緒させて頂きまして、どうもありがとうございました。
楽しいひとときでした。

2015年8月2日日曜日

多福時訪問

本日の午後、柳川にある真宗大谷派多福時の竹井徹ご住職を訪問しました。

沢山の尺八を見せて頂いたり、尺八関係の貴重なお話を伺ったり、吹合せをさせて頂いたりして、楽しいひとときを過ごさせて頂きました。

2015年1月17日土曜日

松本宏平氏、熊本市「邦楽新鋭展」ご出演

東京でご活躍の尺八演奏家、松本宏平氏より、出演のご案内を頂きましたので、ご紹介いたします。

くまもと邦楽コンクールwebサイトより
「邦楽新鋭展 Vol.4」
「新鋭展」とは・・・? 
本公演「新鋭展」は、わが国が世界に誇る「邦楽」の継承と発展を目指した総合コンクール、くまもと全国邦楽コンクールで最優秀賞受賞者のその後の活動を披露する場として、今回初めて地元熊本にて開催いたします。本公演の実施により、世界に誇る日本の伝統芸能・邦楽のすばらしさを熊本から全国へ強く発信することを目的としており、長谷検校ゆかりの演奏家に加え、日本の将来を担う若手邦楽家が集まる邦楽の歴史に残るような演奏会です。

第1部 熊本の若手邦楽演奏家
第2部 コンクール最優秀賞受賞者演奏家
第3部 長谷検校ゆかりの邦楽演奏家

【日 時】 平成27年2月22日(日) 13:00~16:00
【会 場】 くまもと森都心プラザ プラザホール
【入場料】 3,000円(一般)1,000円(高校生以下)
【主 催】 くまもと大邦楽祭実行委員会
(熊本市、熊本県文化協会、熊本日日新聞社)



松本宏平氏は、京都大学卒で私と同級生であり、同大学の邦楽部で尺八を始められました。平成17年、第11回くまもと全国邦楽コンクールで最優秀賞を獲得され(http://www.kumahou.com/result/result11.html)、プロとしての活動を開始されました。以後、東京を拠点にご活躍中です。

松本宏平氏webサイト


2014年10月15日水曜日

吉村蒿盟先生の演奏会

自分の五段砧に必死で、すっかりご案内が遅れてしまったのですが、来週恩師吉村蒿盟先生の演奏会が開催されますので、謹んでご案内致します。

とき:平成26年10月21日(火)
午後6:30開場、7:00開演
ところ:兵庫県立芸術文化センター小ホール
入場料:前売り2500円、当日3000円
演奏曲目:五段砧、鹿の遠音、残月
ゲスト:田中康盟先生、富永澄子先生、香田律子先生

…私は残念なことに、職務の都合でお伺い出来ないのですが、そうそうたるゲストの先生方や、名曲ぞろいの演目からも、大変素晴らしい会になることと確信しております。ぜひとも足をお運び頂き、琴古流尺八の音色に感じ入って頂ければと存じます。

2014年9月29日月曜日

緊張

昨日9/28(日)、大分の芸術会館にて、尺八のイベントがありました。

詳細はご紹介しにくいのですが、たくさんの方とお会いすることができました。自分は「鹿の遠音」を演奏させて頂きました。初めての方々の前で、とても緊張しました。何も考えていなかった関西時代と違って、師匠の庇護の元を離れて九州に戻ってきてからの方が、以前より緊張するようになってしまいました。大変勉強になりました。

初対面にもかかわらず、いきなりの演奏の後、お声かけ下さったみなさま、本当にどうもありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

2014年8月24日日曜日

湯布院の松本峭山氏と

今日も、下合せで湯布院にやって来ました。雨天でしたが、今日は由布岳が望めました。


合奏させて頂いているのは、湯布院在住の尺八演奏家、松本峭山氏です。11/2に開催される久留米市主催の音楽イベント「くるおん」に、ご一緒に出演して頂きます。尺八二重奏で、古典から現代曲まで楽しめる曲目を考えております。リハーサルを重ね、私たち二人ならではの音楽を表現できるように準備して行きたいなと思っておりますので、どうぞお楽しみに!詳細は追ってお知らせ致します。

2013年11月15日金曜日

吉村蒿盟先生の演奏会

直前ですが、明日、吉村蒿盟先生の演奏会が開催されますので、ご案内させて頂きます。

藤村博己•吉村蒿盟による「和の響き」
山田流箏曲•琴古流尺八演奏会

時…11/16(土)午後2時開演
所…神戸芸術センター、シューマンホール

詳しくは、吉村蒿盟先生のブログをご覧ください。残念ながら、私は会に伺うことができませんが、ご盛会をお祈りしております。

2012年10月16日火曜日

師匠の演奏会

いよいよ、本日午後七時より、吉村蒿盟師の演奏会「温故究音」が開かれます。大坂系地歌との三曲合奏、男性3名による粋(すい)な名演が繰り広げられる事と存じます。

私は残念ながら本業の都合で伺えませんが、九州の地から、心よりご盛会祈念しております。