2020年3月15日日曜日

ままの川

「僕もYouTubeで喋ったりとかしてみようかな…」とか書きましたが、やはり動画で喋るのは性に合わないようで、有言不実行になってしまいました。ただ、最近言いたいことはコメント欄に書きましたので、興味があられましたらそちらをご覧いただけますとありがたいです。
動画はいつもの通り、普通に演奏動画です。

【コメント】
「尺八は滅びた」「三曲は衰退するばかりだ」等の話が世間を飛び交っていますが、そういう現代だからこそ、三曲の楽しみ方をもう一度考え直しませんか?固定観念にとらわれていませんか?「先生が『うん』と言わないと演奏会もできない」「ちゃんとした会場で演奏会をしないといけない」「お付き合いのある社中の方でないと共演できない」。そんな『壁』を取り払える方法の一つに「動画による演奏公開」があると、僕は思っています。

演奏動画は、生演奏ではありません。聴こえてくる音もマイクとスピーカーを経由したものだし、「演奏家の息遣いが聴こえてくる」などといいますが、所謂「臨場感」を感じるのは難しいです。奏者にも演奏中は聴き手の様子が伝わって来るわけではないので、一方通行のコミュニケーションのように感じるかもしれません。しかし、その「最大の欠点」を除けば、動画にはいいことばかりです。
・時空を超えて、自分の演奏している地域からはるか離れたところにいる人に、未来に渡って演奏を届けることができる。
・「集客」「チケット」「会場」等の呪縛から解放される。特にマイナージャンルである邦楽にとって「集客」は頭の痛い問題ですが、「なんとか集めてきた人々」ではなく「本当にその演奏を求めている人」に直接届けることが可能となります。もちろん、様々な社会情勢や疫病、災害等で、「演奏会をキャンセル」のようになることもありません。
・工夫すれば、「他地域の同志」と「動画上で共演」したりもできる。
・インターネット、SNS等で紹介してもらい、広めてもらうこともできる。それがきっかけで、新しい仲間が増えたりもする。
今考え付いたものを並べただけで、本当はもっとたくさんの利点があるかもしれません。

僕は「生演奏」を否定したり、「もうやらない」と言っているわけではありません。また、演奏会自体が活況を呈することの方が理想的だとも思います。ただ、冒頭のような嘆きがあちらこちらから聞こえてくるということは、中々現状上手くいってないということに間違いないでしょう。ネットやSNSといった新しいコミュニケーションが普及した今、それを使わない手はありませんよね。すでに洋楽器(ロックやポップスでも、クラシックでも)ではたくさんの演奏動画・レッスン動画が出回っており、感動的なものも多いです。その洋楽の世界でも、楽器が売れなくて、あの有名ギターメーカー「Gibson」が経営破綻しているのです。邦楽は「滅びようとしている」ならなおさら、新しい可能性を探り、色々試していくことが急務なのではないでしょうか。

正直、大正~昭和の頃の、三曲全盛期のように戻るとは、到底思えません。あの頃は情報も限られていて「楽しみ」の数が少なかったし、「教養はステイタス」「女性は特にいざという時のための『芸は身を助ける』を備えたい」など、今にはない社会的な理由がありました。だからこそ、「教授産業」スタイルによって成立した、一般大衆に良さがわかりにくい楽曲なのに、「正直、あまり良さは解らないんだけど、まあ師範免状は欲しいし、それを持っていたら立派だから、難しい曲までがんばろう」などとなったんだと思います。

僕は、「音楽として」尺八本曲や地歌箏曲が好きだし、かっこよくて感動的な芸術だと思います。だからこそ、それをわかってくれる人に演奏を届けたい。旧来のしがらみは、そうした純粋な気持ちや行動を制限する可能性が高いものであり、そのことに気づいていない人があまりにも多いように思います。僕自身、伝統的な師弟関係や社中のシステムの中で修行を積み、技を教えて頂いた人間ですし、そのことへの感謝は忘れていないつもりです。しかし、その僕でさえも(5年前の自分なら、こういう変化を自分自身が遂げようとは夢にも思わなかった)こうした取り組みをどんどんやるようになるくらい、時代は変わったということができるように思います。今回、地歌箏曲「ままの川」という曲を吹いてみました。「いやぁ~、わかっとらんねぇ~、地歌は『歌』が主役だよ。尺八は『伴奏』なの。そんな本末転倒なのをアップなんてねぇ」とか言ってる方がナンセンスなのかもしれませんよ。それほど、「固定観念」の塊の世界だということ、だから音楽が良くても(元々一般人にはわかりにくくできてるんだけど)人が新しく入ってこないんですよね。「いや、私のところは入門者が来とるよ」とかではなく、全国的に見るといかに新たに始める人が少ないかは、目をそらさないべきだと思います。

あれこれ書きましたが、そんな思いで活動しておりますので、もし聴いていただき、気に入っていただけましたら、他の動画をご視聴頂いたり、またアップした時にはご覧頂いたり、チャンネル登録・ネットやSNS等でご紹介して頂けますとありがたいです。ホームページやブログ、Facebookなどもやっております。今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。

琴古流尺八奏者 山口 翔


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