ジョイントweb演奏会で共演した、山田流箏曲家・大庫こずえさんのCD『いつまでもかわらないで』を聴いています。
山田流名取40年を記念して制作されたCDということです。演奏活動で披露されているオリジナル曲が3曲収録されています。
1曲目の「いつまでもかわらないで」は、「箏のためのシャンソン」という副題がついており、東京・銀座の思い出のお店や、空襲で変わってしまった歴史などが歌いこまれています。メロディアスで流れるような3拍子の旋律が印象的であると同時に、叙情的な語りを思わせる歌詞と曲の展開が、古来からの「うた」と「こと」による音楽の本質を、現代に再現しているようにも感じました。
2曲目の「君に添ひながら」は、表題曲から一転して純和風調となり、いにしえの和歌2首(1首目は『閑吟集』より、2首目は百人一首で有名な「筑波嶺の…」)を、素朴に歌い上げておられました。山田流の丸爪の音色が、和歌の世界観を効果的に演出しているように思いました。
3曲目の「花の袖」は、狂言に取材した作品とのことで、中世後期に成立した「幽玄」の美意識が、近現代の色調で描かれている様は、近代日本画、とりわけ上村松園の謡曲を素材とした作品を鑑賞したときの心持ちが思い起こされました。箏の合わせ爪と囃子方の鳴り物が同じ瞬間に重なる独特の音色が印象的でした。
表題曲を思わせるジャケット・アートも、この作品の雰囲気を見事に具象化していると感じました。
大庫さんの名取40年周年を心からお祝いすると同時に、今後のますますのご活躍を祈念しております。
大庫さんのブログは、
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