2016年8月31日水曜日

【web演奏会】10分で琴古流本曲「一閑流虚空替手」

第20回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(10)-1「一閑流虚空替手」「虚空鈴慕四段」吹合せ】
前回のweb演奏会「虚空鈴慕」の吹合せは、二段と四段の段合わせでしたが、もう一つ合奏可能な手として「一閑流虚空替手」というのがあります。
「一閑流(いっかんりゅう)」とは、初代黒沢琴古高弟の宮地一閑(みやじいっかん)およびその一門のことをいい、この一門と区別する意味で、初代琴古とその一門を「琴古流」と称したようです。つまり、当時は現在の流派名とはニュアンスが異なり、「宗家を頂点とした家元制度の1グループ」というよりも「その時代の名人とその一門」というような意味であったようです。近代以降の琴古流の祖である二世荒木古童(竹翁)の師・豊田古童が、一閑流系統の山田如童、琴古流系統の久松風陽の双方に師事したため、現代の琴古流はその両流の流れを受け継ぐことになり、一閑流で手付けされた虚空の替手である「一閑流虚空替手」が琴古流において伝承されることとなりました。
通常はこの「一閑流虚空替手」は独奏で演奏され、「虚空鈴慕」と合奏する機会はあまりないのですが、今回二段と四段を録画した際に、同一のベーシックトラックに合わせて「一閑流虚空替手」も収録してみました。虚空鈴慕同士の段合わせとは違った、独特の合口や旋律の重なりがあり、面白い合奏となりましたので、web演奏会の場で公開させていただきます。


※音源をステレオで編集し、左スピーカーから虚空鈴慕四段、右スピーカーから一閑流虚空替手が出るようにしております。スピーカーの設定で、どちらか片方の音のみにすることが可能です。




第21回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(10)-2「一閑流虚空替手」「虚空鈴慕二段」吹合せ】
前々回の虚空鈴慕二段・四段の段合わせ、一閑流虚空替手がすべて同一のベーシックトラックなので、一閑流虚空替手と虚空鈴慕二段の吹合せも編集して公開してみました。こちらもなかなか面白い合奏となりましたが、四段との合奏以上に合口が難しそうです。


※音源をステレオで編集し、左スピーカーから虚空鈴慕二段、右スピーカーから一閑流虚空替手が出るようにしております。スピーカーの設定で、どちらか片方の音のみにすることが可能です。


第22回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(10)-3「虚空鈴慕二段」「同四段」「一閑流虚空替手」吹合せ】
すべて同一のベーシックトラックに合わせて撮影した、虚空鈴慕二段・四段、一閑流虚空替手を、同時に再生できるように編集して、虚空鈴慕の3部合奏にしてみました。実験的な試みなので「音楽的にはどうかな…?」と思っていましたが、実際に聴いてみると、意外に面白い合奏な気がしますが…、いかがでしょうか?
音の数は多いですが、うるさい感じではないですね。ただ、近代的な3重奏ではなく、あくまで段合わせが3つ重なっている演奏なので、偶発的な音の重なりも多いですね。部分的に時々「おっっっ!」と思うような箇所も、個人的にはありました。
ただ、これを実際に3人で合奏しようとすると、激しく難しいと思われます。…まあ、実際にこれが舞台にかかることはないでしょうけどね…。
以上、琴古流本曲「虚空鈴慕」の現代版・遊びシリーズでした!!

※音源をステレオで編集し、左スピーカーから虚空鈴慕二段、センターから同四段、右スピーカーから一閑流虚空替手が出るようにしております。

2016年8月28日日曜日

【web演奏会】10分で琴古流本曲「虚空鈴慕」

第19回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(9)「虚空鈴慕」吹合せ】



「虚空鈴慕」の歴史的な解説については、「霧海篪鈴慕」の項をご覧ください。また、一人吹きの演奏(抜粋)は、H28.7.17 Live @ 福岡市天神・みちのく夢プラザ「第3回 東北系古典本曲の会」の演奏を公開しておりますので、合わせてご覧いただけると嬉しいです。



この虚空鈴慕は全曲を通すと30分近くかかる大曲であり、大きく4つの部分(青譜では「4段」)に分かれています。ここでは便宜上、青譜の呼称を借りてご説明しますと、まず初段は「起」とでもいうべき、虚空らしいスケール感のある雄大な旋律で始まります。特に冒頭の「ツレー、レー、レー、チチウー」は、琴古流以外の各流各派の「虚空」とも通じる、「虚空のアイデンティティ」とでも呼ぶべき旋律かと思われます。

続いて「承」とでも呼ぶべき2段は、初段の雰囲気は受け継ぎながらも、一転して乙音の低音域中心の落ち着いた旋律が展開されます。

さらに「転」の3段では、高音域の緊張感漂う鋭い旋律が特長です。

そして「結」の4段では、本曲としては拍子的な進行の中に、流れるような美しい旋律が出現します。このように虚空鈴慕は、古伝三曲としての品格の高さを有しながら、宗教的な要素ばかりではない音楽的な美しさや構成の形式美をも兼ね備えた名曲といえるかと思います。


琴古流本曲の「虚空鈴慕」のもう一つの特長は、2段と4段が「段合わせ」できるようになっている点です。「段合わせ」と言えば、箏曲「六段」の各段を同時に演奏開始すると合奏することができることでも有名です。拍子数が一定で、変奏曲のように似た構成の旋律になっていることから、このようなことが可能なわけですが、地歌箏曲の中には「古典へのオマージュ」とでもいうか、それまでに作曲された他の楽曲と段合わせができるように、わざと拍子や調、旋律の構成をそろえている曲がいくつも存在します。

琴古流本曲では、「転菅垣」や「下り葉の曲」などで、曲の前半と後半がぴったり段合わせできるようになっている例がありますが、宗教的に最も重んぜられるところの「古伝三曲」においてこのような作曲・編曲が行われ、今日まで伝承されていることは、大変興味深いことと思います。


今回の演奏では、「転菅垣」同様の「多重録画」を用いて、二段と四段の吹合せを再現してみました。「みちのく夢プラザ」のライブでは、各段を少しずつ拾い上げた形の抜粋ですが、二段と四段による合奏も、琴古流本曲らしい、普化禅の雰囲気と音楽的な要素が融合した、独自の世界観を演出するものであり、これからも末長くこうした吹合せを、尺八演奏者どうしで楽しんで行きたいものと願っているところであります。

なお、この「虚空鈴慕」は、かつては単に「虚空」と呼ばれておりました。琴古流本曲としては、初代黒沢琴古が19歳の時、長崎の虚無僧寺・正寿軒にて一計子より伝授されました。


※音源をステレオで編集し、左スピーカーから二段、右スピーカーから四段が出るようにしております。スピーカーの設定で、どちらか片方の音のみにすることが可能です。

2016年8月18日木曜日

尺八で「ラジオ体操」!!(web演奏会・番外編!?)

残暑お見舞い申し上げます。

日本の夏の風物詩ということで、やってみました。




中メリのオンパレードで難しく、所々ピッチが甘いですが、猛暑に免じてお許し下さい。

まだまだ暑さが続きますが、みなさまどうぞご自愛下さい。

平成288

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琴古流尺八竹盟社師範
山口 籟盟(やまぐち らいめい)
Mail  : raimei245@gmail.com
URL: http://raimei.syakuhati.com
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2016年8月7日日曜日

Stevenさんと「鹿の遠音」

8月4日、Facebookでお知り合いになった、Steven Casano氏が来日されたので、お会いして、ご一緒に吹合せを楽しみました。
黒髪、鶴の声、鹿の遠音を吹きました。
楽しいひとときでした。