第35回山口籟盟web演奏会【外曲の部 山田流箏曲「さらし」深草検校作曲】
9月に入って、久しぶりに「さらし」が吹きたくなり、練習してみました。
速くて手がまわる曲なので、ふだんゆっくりな曲ばかりやっている自分にとっては結構大変でした。大好きな曲なので、これからも稽古していきたいです。いくつか「ちょいミス」がありますが、今回は「ご愛嬌」でお願い致します。
ちなみに、下記の解説にもありますが、最近話題になっている、吉村蒿盟師手付の「早晒」は、この曲が器楽的に発展を遂げた別バージョンとなります。山田流では、中能島欣一師の「多重録音」で有名ですよね。今回の演奏は、山田流箏曲として広く一般に演奏されている方で、尺八の手付は木村友斎師です。
槙(まき)の島には、さらす麻布、賎がしわざに宇治川の、浪か雪かと白妙に、いざ立ちいでて、布をさらさう
鵲(かささぎ)の渡せる橋の霜よりも、さらせる布に白みあり候
なうなう山が見え候、朝日山に霞たなびく景色は、たとへ駿河の富士はものかは、富士はものかは
小島が崎に寄る波の、小島が崎に寄る波の、月の光をうつさばや、月の光をうつさばや
見渡せば、見渡せば、伏見、竹田に淀、鳥羽も、いづれ劣らぬ名所かな、いづれ劣らぬ名所かな
立つ浪は、立つ浪は、瀬々の網代に障(さ)へられて、流るる水を堰き止めよ、 流るる水を堰き止めよ
所柄とてな、所柄とてな、布を手ごとに、槙の里人うちつれて、戻らうやれ賎が家へ
地歌・箏曲。宇治川の布ざらしを描写した曲。抱一上人筆「吾妻唄」(1828、文政11以前成立)に収録されているので、早くから山田流で箏の手付が行われていたと思われるが、現行のものは小名木検校の箏手付という。片雲井調子で出て、部分的に多少の変化がある。なお、この「晒」の三弦曲をさらに器楽的に発達させたものが、京都に伝承される「早晒(はやざらし)」であり、山田流では三弦・箏とも即興的な手が入れられて、「新晒」として行われている。(『邦楽曲名事典』 平凡社 1994)
※「山口籟盟web演奏会」は、ふだんなかなか耳にする機会のない
尺八音楽を、インターネット上で公開する取り組みです。