ご縁があって、筑前琵琶の方から楽譜を紹介して頂き、
尺八の手付けをさせて頂いております。
ふだん耳慣れている地歌箏曲とは、また違った趣があり、
面白いです。
歌というか、語りに対して手がついている感じで、
拍子の雰囲気も地歌とは違いますね。
馬に乗って駆けていくような、躍動感のある手もあります。
これまで、琴古流の三曲合奏で培ってきたニュアンスを生かしながら、
琵琶楽ならではの新しい表現方法も探っていきたいと思います。
意外だったのが、琵琶譜の横線が、三味線の文化譜のように
「糸」を表しているのではなく、
ギターで言えばフレットにあたる「柱」というポジションを
表しているということです。
偶然にも、琵琶の弦の数と同じなのですが(5弦だそうです)。
どの弦かを表すのは、線の上の丸印の種類で表すそうです
(黒丸だったり、三角だったり…)。
ちなみに、われわれ三曲界の人間は、つい「柱」とあると
箏のように「ぢ」と読んでしまいやすいですが、
琵琶では「ぢゅう」と読むのだそうです。おもしろいですね。
調弦の仕方などの資料も頂きましたので、
色々勉強していきたいです。
ふだん中々ご一緒しない邦楽器どうしの交流は、
とても新鮮で楽しいです。
ちなみに、筑前琵琶と琴古流は、ともに福岡県と縁深い芸能
という共通点があります。
中世の盲僧琵琶の頃から、琵琶は薩摩と筑前を中心に伝えられて
きたそうなのですが、そのうち筑前盲僧琵琶から宗教性を脱し、
家庭音楽として発展してきたのが筑前琵琶とのこと。
その成立・発展には、福岡藩士の娘である吉田竹子女史の活躍
が重要な役割を果たしたということです。
一方、琴古流尺八の流祖である、初代黒沢琴古(1710〜1771)
もまた福岡黒田藩士であり、琴古流尺八本曲中の重要な楽曲、
「古伝三曲」や「鹿の遠音」「波間鈴慕」などは、琴古が19歳
のとき、長崎の正寿軒という虚無僧寺で伝授されたもの。
その出発点は九州・福岡であるということもできるように思います。
これまで、あまり多くの関わりを持って来なかった、筑前琵琶と
琴古流尺八。有意義な交流ができたらいいなと思います。
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