2013年9月22日日曜日

秋の虚空鈴慕

久松風陽の『独問答』を読んで、ふと「虚空鈴慕」を吹きたくなったので、久しぶりに朝練で虚空鈴慕を吹きました。

去年の夏は、スカッと晴れた夏空のもとで練習に励んだのですが、今年はなぜか夏には全く吹く気が起こりませんでした。色々と気持ちの面で葛藤があったから、古伝三曲の境地を味わえなかったのでしょう。九月になって、尺八の吹き方の迷いが取れ、20分を超える大曲も、リラックスして味わいながら演奏できるようになって来ました。

古伝三曲の中で、「名曲」はもちろん「真虚霊」でしょうが、個人的に最も気に入っているのは「虚空鈴慕」です。曲の組み立てが工夫されていて、全部で「四段」のうち「二段」と「四段」(譜面にそう書いてはないのですが、勝手にそう呼んでいます)が段合わせできる上に、初段(虚空の雄大な風景・起)二段(引き続いて、乙音中心の落ち着いた流れ・承)三段(高音の緊張感・転)四段(メロディアスな終末・結)と、構成が整っているのです。旋律も格別に美しいと思います。

曲が整っているためでしょうか、一年ぶりに吹きましたが、暗譜で通せました。あとの二曲は、覚え直さないと暗譜はむつかしいと思います。特に、「霧海ヂ鈴慕」は、混沌としてカオスなので、中々大変です。

空は雲が出ていて「爽やかな秋晴れ」とまでは言えませんでしたが、非常に充実した二十数分間を過ごすことができました。

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