2021年5月1日土曜日

中野信子氏著『ヒトは「いじめ」をやめられない』

 あらためて、中野信子氏著『ヒトは「いじめ」をやめられない』を読み返しました。要は、「いじめ」とはヒトが種を残していくための生存本能的なもので、異質な者を排除するのに、オキシトシン、セロトニン、ドーパミンなどの脳内物質(快楽ホルモン等)が関係しているというもの。実はいじめがなくならないのは「いじめる人の脳が快楽を感じているから」という、衝撃ながらも納得のいく事実が述べられています。

ネットのレビュー覧なんかでは、「こういう意見は危険だ」みたいなのもありましたが、僕はこの説は支持していますし、学校で働いている時にも科学的にそういうものだと捉えて対応しています。初めて読んでから数年が経ちますが、未だに「いや、やっぱこれ違うわ」とは全く思いません。時々、バラエティ番組とかで、しつけた愛犬があちこちに置いてある高級肉に釣られず飼い主の言う通りゴールを目指すかみたいなのがあり、大体の犬は本能に負けて食べて飼い主を泣かしたり怒らせたりしますが、犬が例えで悪いのですが、人間も結構そういうものだと思います。脳内の快楽物質がドバドバ出たら、簡単に理性が吹っ飛ぶというか。子どもに限った話ではなく、大人もみんなが一人をいじめていたら同調してやってしまってますよね。その時実は「脳内麻薬的な快楽物質」に支配されている可能性が高いんですよ…いやはや、恐ろしい…
僕は「いじめを回避」するためには、人間の脳の構造とはそういう物であるということを理性的に自覚し、脳内物質が出てそうな時に「おおっと!これはいかん、同調しないようにしよう…」と冷静に対処するしかないように思っています。
…で、なぜ今日この話題なのかというと、本の後半で「学校のいじめ」についての話題があり、要は学校のクラスなんかは同年齢の近似的な立場の集団なんだから、学業成績、容姿、運動神経…などで頭ひとつ抜け出したりしていたら妬みの対象になりやすいし、逆にそれらの観点で自分たちより劣るとみなされるといじめられやすいというのは、これはもうそういう集団なんだから必然だと。そもそも近代的な学校教育は戦前は軍隊向け、戦後は高度経済成長期の企業向けの画一的な粒揃いの人材育成のためのものであったわけで、新たな時代を生き抜く「個性伸張」が目的のはずの現代とは合わないのだから、これまでの学校教育の集団授業・出る杭は打たれる方式は改めた方がいいのでは、フリースクールなどのみならず、eラーニングの活用やベテラン教員の大量退職者活用、登校日は減らして学校に来ない日は家での学習など、検討してもいいのではと書かれてあります。この本が上梓されたのは2017年。コロナ騒動よりも3年も前に、こうした先見の明ある著作が刊行されていたわけです。
「学校の授業神話」はいまだにはびこり、訳の分からない「研究授業」とかいう「研究」でもなんでもない、結論の出きっていることを、「学習指導案」とかいう紙を書き、黒板への張り物やヘンテコなグッズを大量に作り、生徒には圧をかけて言うことを聞かせるようにしこみ、…という狂った「ショー」「宗教」がまだ続いていますが、文科省や教育学部の洗脳からそろそろ目を覚まし、もうちょっと冷静に考えた方がいいよねとあらためて感じました。
いや、こういう話、職員室なんかでもまわりの先生達に言ってるんですよ。でも、、、中々分かってもらえない…



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