「Web上でのコンサート」をコンセプトに取り組んできたこの企画も、3回目となりました。今回は「鹿の遠音」をお届け致します。
この秋に入ってからの自分の課題に対する、現時点での答えです。全ての点で満足の行く演奏というわけではないですが、今の自分自身そのものが具現化された演奏だと思います。
息の不安定さ、ビブラートのイビツさ、歌うように吹けていないこと…など、晩夏に感じていた課題は、一定の解決を果たしました。しかし、最近、とあることがきっかけで、そういった表面上の細かいことにあまりにも囚われて、何か肝心な事を見失っているのではないかという気もしてきました。
そのきっかけとは、最近聴いた浄瑠璃の義太夫の太棹三味線です。義太夫の三味線は、所謂、これまで自分が「音楽を上手に演奏する要素」と信じて疑わなかった、鳴りや抜け、ピッチの正確さやビブラートの美しさなどとは、根本的に違う何かがあったのです。勿論、そういった要素が未完成な事の言い訳にしては技能が上達しないのですが、自分にはもっとスケールの大きな、「日本の音」に対する感性や、人間としての芯の太さが必要なんだと思います。
ですから、現時点での課題を追い求めるのは一段落付け、もう少し違う方向性を追ってみようと思います。今回のWeb演奏会が、ある意味次のスタートラインとなりそうです。
それから、明日からは久々に外曲に取り組んで行こうと思います。課題曲は「四季の眺」です。
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