2021年2月14日日曜日

外曲リハビリシリーズ1 大内山

2019〜2020年頃のスランプ期、1年間ほど毎日「一二三鉢返調」しか吹かなかった(吹けなかった)ことから、「外曲が吹けない!」「息が続かない!」「苦しくて曲を通せない…」と散々なコンディションに。「これはもう、リハビリしかない!」と2021年の年明けより、外曲を初傳曲から地道に稽古を始めました。黒髪、六段、八千代獅子と進み、4曲目に取り組んだのがこの「大内山」。

コロナ禍において、世界中で演奏活動が制限される中、様々なミュージシャンが工夫して演奏配信などの活動に取り組んでおられます。当方の取り組みはそんな諸活動とは比べ物にならないほどの地味な、というか全く個人的なリハビリなのですが、「人様に聴いて頂く」のを励みに続けていくというのもモチベーションに繋がるかと思い、この「大内山」から(これまでの3曲はすでに上げたことがありますので)稽古の仕上げを撮影してアップしてみることに致しました。
以下のような設定で、この「外曲リハビリシリーズ」をやっていこうと考えております。
・初傳曲から、お習いした順に練習し、稽古の仕上げを撮影する。
・平服で演奏、「継続」を目標に。マイペースで行きます。
・掛け合いの所は、尺八の方を演奏。
・演奏会、温習会等で合奏したことがない曲も演奏します(この「大内山」もそうです)。所謂「尺八素吹き」であり、歌や糸の手を了解せずに吹いている曲に関しては「そういうもの」ということで…。「日本人が、中国語が解らなくても漢文を訓み下している」みたいなことです。
外曲の練習を始めて改めて気付きましたが、本曲に比べて外曲は音の変化、フレーズの多様性に富み、楽器の表現力向上という観点で見ると、非常に有効ですね。実に当たり前の話ですが。尺八本曲は「尺八をやって気持ちよく感じる」ように作曲されていますが、外曲は「三絃や箏の旋律や音階に寄り添う」必要から、尺八本来の技巧以外のものを「無理に行う」からでしょう。
ゆる〜くやっていきますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
大内山:箏曲。手事物形式の明治新曲。高野茂作曲。高崎正風作詞。1892年(明治25)3月7日の明治天皇銀婚式を祝して作曲された。手事は二段からなり、各段同拍で段合せが可能。のちに松坂春栄によって手事部の増補がなされた。雲井調子(第一弦と第七弦を同音)
※明治天皇の銀婚式のお祝いをお喜び申し上げた曲で、天皇、皇后両陛下のいつも御睦じく、千代に栄えまさんことをうたっている。作曲者高野茂は当時華族女学校(後の女子学習院)箏曲科の教師、作詞者高崎正風は当時宮中御歌掛、後に宮内省御歌所々長となる。
※明治新曲:当道制が解体した明治期になって、新たに作曲された改良唱歌運動に基づく新調弦、新形式の箏曲をいう。主として歌詞は、天皇の御製や皇族の御歌を用いたもの、あるいは「御歌会始」の勅題にちなむ内容のもの、道徳的で教育的な内容のものなどが中心となり、遊女や遊里を歌った歌詞は避けられるようになった。また箏は高低二部合奏の形態をとり、左手を使用した重音奏法と、明清楽などの影響を受けた半音の入らない五音音階である陽音階の使用などが特色である。
大内山  高野茂作曲、高崎正風作詞
大内山の山松に、若紫の藤の花、かかりし春を数ふれば、はたとせ余りいつもいつも、常磐の影も濃(こま)やかに、ゆかりの色の麗はしく、栄えましけりかくながら、仰ぎまつらん万代に、めぐる月日の限りなく、いや栄えませ諸共に、めぐる月日も限りなく、いや栄えませ諸共に


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