第38回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(25)「佐山菅垣」】
ふだんなかなか耳にする機会のない琴古流尺八本曲を、聴きやすい「10分程度」の演奏でお届けするシリーズです。
「裏の曲」5曲目は「佐山菅垣」です。
『琴古手帳』によれば、初代琴古が「古伝三曲」や「鹿の遠音」などとともに一計子から伝授を受けた曲で、当初は「尺八スガガキ」と呼んでいたそうです。
琴古流本曲には「〇〇菅垣」と末尾に「菅垣」がつく曲が5曲(秋田菅垣、転菅垣、三谷菅垣、佐山菅垣、曙菅垣)ありますが、個人的にはそれらのなかでこの「佐山菅垣」が、もっとも旋律が「六段」など、糸の「菅垣」と旋律の形が似ているように感じます。ただし、演奏スピードがゆっくりで、リズムもやや本曲ならではの崩しが入っていますので、いかにも「六段」を吹いているような感じとは少し違っています。また尺八本曲の「〇〇菅垣」には、段のくぎれや「各段52拍子」のような拍子の数の規則性などはありません。
全体的に地味な曲ですが、演奏する際には、古の尺八成立過程での「糸との関わり」に思いを馳せながら吹いています。なお、この曲も抜粋なしの全曲通しです。
※「山口籟盟web演奏会」は、ふだんなかなか耳にする機会のない尺八音楽を、インターネット上で公開する取り組みです。
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