2018年1月5日金曜日

今年の目標

あらためまして、新年にあたり、今年の目標を述べて見たいと思います。

僕の尺八に関する今年のテーマは「クォリティ」「高揚感」にしたいと考えています。

因みに昨年は、意識的にテーマを設定した訳ではありませんでしたが、結果として「古典をwebという新ステージで追究」という感じになりました。「web演奏会」「ジョイントweb演奏会」「web尺八セミナー」「而今の会」など、やってる演奏は本曲や地歌箏曲など純邦楽の古典そのものなのですが、その演奏公開、合奏や下合せ、さらには講習の場までもネット上とすることで、これまでのリアルな演奏会やレッスンにはなかった、他地域にお住まいの「仲間」もっと言えば「同志」と巡り会うことができ、課題も多いのですが、一定の成果も得ることが出来たのではないかと思っております。


さて、今年の目標「クォリティ」「高揚感」に触れる前に、そのような考えを持つきっかけとなった、いくつかの事情をご紹介しましょう。

昨年末から、J-METALの「GALNERYUS(ガルネリウス)」というバンドが好きで、よく聴いています。J-METALといえば、紅白にも出演していたX JAPAN や、デーモン小暮で有名な聖飢魔IIなどが思い浮かびますが、僕もそれらのバンドも好きで聴いています。特に聖飢魔IIは、バンド全体の技術の水準や結束感が強く、メンバー同士も「大学のサークルの延長」という感じの和気あいあいなので、自分自身もこうしたバンドみたいなグループが組めたらなぁと積年思い続けていたりしました。
しかし、GALNERYUSは、これら二つのバンドとは何かが違うのです。それは「現代の圧倒的なハイクオリティ」とでも言えるでしょうか、信じられないくらいの全てのパートの驚異的なテクニックと息を呑むような演奏が展開されているのです。聖飢魔IIも各パートどれをとっても「プロとして上手い」のですが、GALNERYUSは情報の洪水の中に生きている現代人が、歌にせよ楽器にせよこれまでになく演奏水準が上がっている中において、おそらく現代のバンドが成し遂げられるであろう最大級の演奏技術が現実のものとなっている訳です。しかも、作曲にも優れ、アルバムの中身も純粋なメタラーを唸らさせるだけの硬派かつ質の高い楽曲でひしめき合っている。これ以上詳しく書くとしつこくなってしまうので、ご興味を持たれた方にはネットで検索していただければと思うのですが、僕は結果として最近3枚アルバムを買いました。聴こうと思えばYouTubeとかでも聴ける時代なのですが、「いい音で聴きたい」と思った訳です。ネット上のインタビューでも語られていましたが、このバンドはミリオンセラーやチャート上位に食い込んだりして日本人なら誰でも知ってるという訳ではなく、そこがXや聖飢魔IIと違うところなんですが、モーレツに熱い固定ファンが多数おり「この売れないジャンルで毎年のように新アルバムを出せること自体が珍しい」ことなのだそうです。また、「メタル」というジャンルは世界的にファンが散らばっており、「国内オンリーのJ-POP」とは違い、他所の国から演奏のオファーやファンレター(メール)が来るとのこと。この辺りも、純邦楽の特に古典は大いに参考にしていかなければいけないような気がしました。

それから、正月にたまたま本屋で「塩谷亮」という油絵画家の画集と出会いました。詳しくは述べませんが、とにかく「写真か!?」と見まごう程の写実的な作品には、思わず息を呑みました。で、帰ってからネットで調べてみると、以下のような記事と出会った訳です。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO16281380S7A510C1000000
要するに、もうこのご時世、日本画も油絵も売れてないと。しかしそんな中唯一売り上げが伸びているのが、こうした「写実絵画」だとのことで、現代の富裕層が出品された作品に殺到している訳です。

まあ、この辺は「好み」もあるものですから一概には言えないのですが、僕はこの話を聞いて「GALNERYUSと似ているな」と感じました。つまり情報に溢れ、価値観の細分化している現在、もはやかつてのような「みんな誰でもが当たり前のように一つの価値観に集まって行かない」という時代、その中でも熱く濃いファンの支持を如何に得ていくかということが大切だと思うわけです。そして、そのキーワードとなるのが「クォリティ」なのではないかと思います。自分はまだまだそこが甘いので、とにかく上げていかなくてはいけないなと思っています。

「高揚感」については、あまり詳しく述べられず、自分の中でも考えをまとめきれてない所もあるのですが、GALNERYUSにせよ写実絵画にせよ、聴いた瞬間、見た瞬間、「おおおぉっっっっ!?!!!!」という、極めてハイテンションな高揚感に心を鷲掴みにされるように思います。そこに、「人が振り向く」ということなんでしょう。人はそれを「感動」と呼ぶのだと思いますが、僕の中では「高揚感」あるいは「陶酔感」というような言葉で腑に落ちています。「クォリティ」とも深い関係があるように思いますが、やはり奏者の情緒面とも深く関係する所でしょう。「感情を込めた演奏」とかいう言い方は学生の頃から苦手ですが、メンタル面を高めていくために、自分の中にこうした要素を重視していく必要を感じ、「高揚感」という言葉で受け取って行くことにしました。

元日にNHKで「歌舞伎俳優祭」という番組を見ました。歌舞伎の有名な俳優さんがオールスターな感じでひとところに集まり、演目を繰り広げていた訳ですが、僕は仮名手本忠臣蔵から要所を抜粋した「二つ巴」という舞踊を見ました。もう目が釘付けのクォリティの圧倒的な高さと凄まじい高揚感!!素踊りの紋付袴が本当に女性のように見え、所作の一つ一つの洗練度が信じられない水準です。お囃子や長唄も当然のように演奏水準が高く、引っ切り無しに次から次へと曲が流れて行く。その歌舞伎でも、今は先行きに対する危機感があるといいます。純邦楽、特に古典系は、こうした時代の実情をしっかり受け止め、これからも聴いていただいた方に「いいな」と思って頂けるよう、毎日の努力を積み重ねていかねば!!と、自分に言い聞かせているところです。

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