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2017年1月1日日曜日

【web演奏会】10分で琴古流本曲拡大版、1時間で琴古流本曲!!「栄獅子」

27回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲拡大版、1時間で琴古流本曲!!(15)「栄獅子」】
ふだんは聴きやすい「10分程度」の演奏でお届けしていますが、今回は全曲通しで「1時間」に迫ります!

新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!

今年も「web演奏会」開催していきたいと思いますが、何とイキナリ、しかもスペシャル(?)なweb演奏会です。

そう!いつもは「聴きやすい10分程度(10分でも充分長いのですが)」なはずのこの琴古流本曲シリーズが、何と平成29年新春拡大版で「1時間(正確には50分)」の長丁場となっております!!

琴古流本曲をされている方なら「栄獅子」と聞くと、「ああ、あの長い曲ね」と思われるでしょう。琴古流本曲中、最長の曲であり、山口五郎先生の琴古流本曲の全集での収録時間は「6134秒」をマーク。全12枚組のCDのうち、「栄獅子」だけでディスク1枚を費やしている曲です。

この「栄獅子」を演奏するにあたって、本手・替手の二重奏バージョンにしようか、どこかの段だけ代表で演奏しようかと迷いましたが、栄獅子の一番の個性といえば「長さ」(自分的には)。新春拡大版という名目で、通常ルールを逸脱して全曲ノーカットで動画公開させて頂くことにいたしました!


真面目なモードに戻りまして、琴古流本曲「栄獅子」は、大森宗郡より黒沢琴古が伝授されたとされており、「堺獅子」とも表記されたそうです。大森宗郡(宗勲)といえば、織田信長にも仕えた一節切(ひとよぎり)尺八(中世の尺八)の伝説的な名人ですが、時代的に黒沢琴古とは年代が合わないため、直接の伝承かどうかはちょっと首をひねるところではあります。が、演奏してみると確かに「重々しい重厚な曲」というよりは「短い笛で軽妙に吹いたであろう曲」という感じはします。七段構成で、旋律の繰り返しも多く、かつては1時間もかけずにわりと気楽に吹かれていたのでしょう。曲名に「獅子」と付くことからも、曲の性格がうかがわれます。

しかし、長い時を経るとどうしても一音に重きが置かれ、しだいに曲のスピードが落ちていくのは洋の東西を問わずフォーマル・カルチャー音楽の常。雅楽は千年の時を超えて今のスピードに落ち(素人の私には越天楽以外、曲の判別が難しいほどに)、ベートーヴェンの交響曲も、作曲者本人の速度指示では「早すぎる!」と言われるほどに、現代ではゆっくりな演奏になっています(最近は逆に指示通りのテンポで演奏する復古的な試みもあるようですが)。琴古流本曲も同様で、「どの曲も同じに聞こえる!」といわれても仕方ないほどに、曲のスピードは落ち、指使いや装飾なども定型化し、ある意味雅楽などと似た変化をたどっているようにも思えます。これは琴古流に限らず、一人の人物や流派が曲を収集すると、どうしてもそういう傾向があるようにも思うのですが

話が逸れましたが、そういう理由で現代においては栄獅子は「1時間」という演奏時間を要します。私の演奏は、上記のような一節切風な雰囲気を感じたためややテンポが上がって演奏時間が縮まりましたが、でもそれでも50分はかかりました。この長さ、なかなか演奏が大変でした。

今回の撮影では、3テイク演奏しました。テイク1では途中間違えてしまってあえなく失敗。テイク2は最後まで演奏したものの、途中でカメラの電源が落ちてしまって半分しか撮影されていないというショッキングな出来事が。その日はもう諦めて、翌朝トライしたのがテイク3、この演奏となります。

中盤までは気持ちよく吹けていたのですが、暖房が災いして次第に汗がにじみ、尺八とアゴがズルズル滑るようになってしまいました。音が出にくくなり、諦めようとしかけたその時、六段の真ん中くらいで一つミスをしてしまいました(ナヤシの後の送りの点をしそびれた)。それで逆に開き直ることができ、とりあえず最後まで一生懸命吹き切ることができました。終わった時には汗だくでした。

よって完全な演奏ではありませんが、今年きっと一年もいいこともあれば悪いこともある、良いも悪いもトータルで自分の一年だし、諦めなければ最後までゴールできる、という意味も込めて、公開させていただきます。ただ単に「通し演奏をやりとげた!」というだけですが。長距離走の選手の気持ちがちょっとわかりました。

なかなかおられないとは思いますが、もしこの演奏、早送りやスキップなしで全曲お聴きになられた方がおられましたら(〇〇しながらのBGMでも結構です)、「全部聴いたよ~」とかで結構ですので、コメントいただけるとありがたいです。というかこの曲、今後全曲演奏する機会があるのでしょうか


「山口籟盟web演奏会」は、ふだんなかなか耳にする機会のない

尺八音楽を、インターネット上で公開する取り組みです。

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