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2018年9月30日日曜日

再び、琴古流本曲を最初から

本曲を、また最初に戻ってもう一巡することにしました。まずは「一二三鉢返調」、「瀧落の曲」からです。


本日午前中、演奏を撮影しました。両方とも「10分で~」シリーズで公開した曲ですが、あのとき抜粋した「瀧落」も、今回は「全曲」です。

以前のようにシリーズ化するつもりはないのですが、折角本曲をまたもう一巡するなら、なにか目的があった方がとも思い、それなら「全曲」で行こうと思ったわけです。
ただ、「10分で~」のように、「毎月一曲」とかノルマのようになると、目的と方法が逆になったりするかもしれませんので、今回はお気楽?に、マイペースで「撮影・公開したい時」にやることにしました。ですので特段シリーズ名などありませんが、あえて言えば「webおさらい会」のようなもんでしょうか。


【一二三鉢返調(Hifumi Hachigaeshi no Shirabe)山口 翔】
「調べ」とは、「竹調べ」ともいい、尺八音楽において実際に楽曲を演奏する前に竹を暖め、息を整えるための短い楽曲を指します。

この「一二三鉢返調」は「一二三調(ひふみのしらべ)」「鉢返(はちがえし)」の二曲が合わさって成立しています。「一二三調」とは「いろは」「ABC」などと同じく「手習い」「初学曲」といった意味合いを持っています。また「鉢返」とは、虚無僧が偈箱(げばこ)を返す際、米銭などの喜捨への返礼の意味を込めた曲と言われ、虚無僧同士が出会った際には礼法として奏し、互いに名乗り合う(合図高音)習慣もあったとのことです。2曲とも曲の末尾の旋律が同一のため、このように繋げて演奏するようになったようです。

黒沢琴古が遺した手記『琴古手帳』の中の「当流尺八曲目」には曲名が見当たりませんが、2代目荒木古童(竹翁)の頃には現在の形で演奏されるようになったとみられ、『三浦琴童先生著拍子記号附 琴古流尺八本曲楽譜』(いわゆる「三浦琴童譜」)には、表曲の冒頭に掲載されています。なお、同楽譜においては、さらに「寿調(ことぶきのしらべ)」をも合わせ「一二三鉢返寿調」として清書されています。

曲の後半部に、荒木竹翁が「波間鈴慕を参考にした」とする「竹翁先生入レコノ手」が挿入され、聴きどころの一つとなっています。

平成30年 9月30日撮影
撮影機材:iPhone 8




【瀧落の曲(Takiotoshi no Kyoku)山口 翔】
『琴古手帳』の「当流尺八曲目」によれば、下総一月寺の御本則、小嶋丈助(残水)より初代琴古が伝授された曲であるとのことです。

伝説によれば、伊豆の修善寺の旭滝の傍にあった瀧源寺の住職が、滝の落ちる様を竹の調べに移したものということです。古典本曲各派に同名曲が伝わっており、そちらでは「たきおち」と読むことが多いようですが、琴古流では「たきおとし」と呼びます。

「ツレゝゝ、ゝツレゝ、リウレゝ、ツロへツレロ」という、瀧落ならではの旋律系が繰り返され、呂(乙、第1オクターブ)を主体とした前半部、甲(第2オクターブ)に移行した高音(たかね)の中盤、そして再び呂に落ち着いた後半部から成っています。後半部では、「ナヤシ」を除くことで、前半部とは異なる雰囲気となっています。譜面では呂の前半部をもう一度繰り返すよう指示されていますが、現行では繰り返しを省き、中盤に移ることが殆どのようです。


平成30年 9月30日撮影
撮影機材:iPhone 8



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