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2018年3月22日木曜日

【web演奏会】10分で琴古流本曲「厂音柱の曲」

46回山口籟盟web演奏会【10分で琴古流本曲(34)「厂音柱の曲」】
ふだんなかなか耳にする機会のない琴古流尺八本曲を、聴きやすい「10分程度」の演奏でお届けするシリーズです。

今回は、「芦の調」「厂音柱の曲」の二曲同時公開です。

「芦の調」「厂音柱の曲」は、ともに3世琴古作曲の「砧巣籠」の前吹として扱われたものであり、元々の「琴古流本曲36曲」には数えられていなかったものでありますが、曙調子・雲井調子の移調曲8曲が実際には演奏されなくなったことから、現在は独立した1曲に数えられております。「琴古手帳」の冒頭にある「当流尺八曲目録」に、「碪巣籠、前吹蘆調、同柱曲」とありますが、3世琴古以前に記録されたと思われる「当流尺八曲目」には「砧巣籠」が含まれておらず、当時は琴古流本曲は「表18曲、裏17曲の計35曲」だったことが分かります。「36曲」が成立したのは3世琴古の代になってからということになり、前吹である「芦の調」「厂音柱の曲」も、琴古流本曲成立当初にはなかった、比較的新しい曲と言えるでしょう。

なお、値賀笋童師著『伝統古典尺八覚え書』によると、「厂音柱の曲」は3代目琴古の門人であり、「琴古流中興の祖」とも呼ばれる久松風陽の作曲ということです。他の楽曲にはあまり見られない、雅楽のような手が出てくるなど、全体に流麗な雰囲気を感じます。なお、「厂音柱(ことぢ)」とは、箏の調弦の際に移動させる「琴柱」のことであり、昔から雁がねの群れに見立てる美意識があったようです。琴柱のフォルムそのものも、雁が羽を広げ長い首を前に出して飛ぶ姿を彷彿とさせますし、箏の調弦では、一の糸の柱の場所が高い位置にあり、二から下がって三、四と上がっていく形も、群れの並びと似ていますよね。山田流箏曲「岡康砧」にも、「月の前の砧は、夜寒を告ぐる雲井の雁は琴柱にうつして面白や」とあります。当て字もとても面白いですね。「雁音柱」と、最初の文字をがんだれに省略しない書き方もあります。



「山口籟盟web演奏会」は、ふだんなかなか耳にする機会のない尺八音楽を、インターネット上で公開する取り組みです。

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