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2017年1月14日土曜日

山口五郎先生の「尺八のおけいこ」

有名な山口五郎先生のNHK教育テレビ「尺八のおけいこ」のテキストブックです。





僕が郷里で尺八を始めるきっかけを作ってくださったのは、実は都山流の先生だったんです。なので、尺八を始めた12歳の冬から高校を卒業するまでの足掛け7年間、僕は都山流の尺八をお習いしました。今は琴古流ですが、振り返ってみると、最初が都山流だったというのは自分にとって重要な経験だったように思います。

このテキストブックは、その頃(中学の時でしたか)に、その都山流の先生が見せて下さったものです。当時はまだ、五郎先生は存命だったはずです。

練習の最中に、奥の本棚から「こんなものがあるよ」と出してきてくださいました。その時は「山口五郎」という名前を記憶したように覚えていませんが、とにかく黒縁眼鏡をかけた温厚な雰囲気の紳士が、焦げ茶色の曲がった尺八を吹いておられた印象と、先生がおっしゃった「この方が、日本で一番尺八の上手な人だ」という一言が印象に残っています。

だいぶ前、帰郷してその先生のもとにご挨拶に行った折からずっと「お借り」して、大切に持っております。



琴古流竹盟社に転じた目であらためて見てみると、とにかく圧巻なのが上巻表紙の、五郎先生の吹き料の写真です。この風格と存在感、もう圧倒的ですよね。しかも割れが入っていて、「音が変わらないように、巻きを入れてない」とお聞きしたことがありますが、その簡易修繕の跡まではっきり見て取れます。とにかくこの使い込まれた、竹の繊維に染み込んだ五郎先生の一息ひといきの積み重ねが実感される写真です。




姿勢のお手本の写真では、あの五郎先生(四郎先生)独特の、「上の手の小指を裏に巻き込んだ」持ち方をされていない、珍しい写真です。五郎先生は本来は逆手ですが、手も左右反転して、標準的な「右手下、左手上」にされています。





このテキストでは、全編にわたって琴古譜・都山譜、そして五線譜の3種類の楽譜が併記してあります。今でこそ他流派同士の分け隔てない交流が盛んですが、あの当時にこうした講習形式をとっておられたのは、大変先進的だと思います。他流派の譜面や音符の研究資料としても、インターネットなどない当時には重宝したと思われます。




昭和57年は、僕が生まれた年です。この番組で、ジョイントweb演奏会で演奏した「千鳥の曲替手」が、オープニングで流れたわけですね!



【ジョイントweb演奏会:大庫こずえ(長野県)・山口籟盟(福岡県)】
『千鳥の曲』山田流本手・山口五郎先生手付尺八替手

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