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2016年5月27日金曜日

第二回筑前琵琶新進・若手演奏会

少し日が経ってしまいましたが、先週の5/21(土)、博多の住吉神社能楽殿にて開催されました、第二回筑前琵琶新進・若手演奏会に行って参りました。






能楽堂での邦楽鑑賞は始めてでしたが、とても素晴らしい会場でした。最近は邦楽もコンサートホールで催されることが多くなっていますが、本来の邦楽器の響きを楽しむには、こうしたところの方が合っているのかなと思いました。

印象的だったのが、黒光りする檜舞台の気品と凛々しさです。こういう場所で尺八も演奏してみたいです。



さて、琵琶は、三曲とはまた違った魅力を持つ音の世界を作り上げていました。

琵琶の強みは「歴史物」が豊富なところだと思いました。語りの要素が強く、歌詞の内容がとても聞きやすく、手も情景描写に富んでいました。源平に関係する曲がやはり多かったですが、他にも福岡にゆかりのある菅原道真公の曲や、忠臣蔵の物語、そして、なんと10歳の男の子が語る、うさぎとかめの童話までありました。「邦楽を聴く」という要素と「歴史物語をを聞く」という要素が共存していて、その両方を楽しめるところは、とても魅力的に感じました。






写真は終曲、「大物の浦」を演奏中の石橋旭姫さんです。

大物(だいもつ)は、兵庫県在住時代、尼崎市を通る阪神電車の駅で、よく利用していた時期があり、とても懐かしかったです。このすぐとなりの駅が阪神尼崎駅で、この一帯はかつて「琴の浦」と呼ばれる、海岸の砂浜に松林が続く風光明媚な場所だったそうで、太宰府に赴く途中の菅原道真公も、船を泊めてその景色を堪能したということだそうです。

「大物の浦」は、源平合戦の後、頼朝に追われた義経が静御前と別れ、西国目指して大物の浦より船出したものの、壇ノ浦で討たれた平知盛の亡霊による嵐に阻まれるくだりが描かれていました。石橋さんの歌と語り、撥捌きに、思わず引き込まれてしまいました。能楽堂を取り巻く空気が、時代を飛び越して、当時の大物の浦にすり替わったような感覚を感じました。とても素晴らしい体験をさせていただきました。

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