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2013年8月21日水曜日

夏の読書感想文

盆明けから、眼精疲労から来たと思われる肩こりに悩まされております。大学卒業からこのかた、活字離れが甚だしかったので、無理もないのかもしれません。


夏の間に読んだ本は、夏目漱石の「草枕」と、「道草」です。

「草枕」は、俳諧的趣向の画家が、熊本の温泉宿にとどまって、「非人情」の境地を模索するような話でしたが、琴古流本曲もまた、この「非人情」の芸術に相当するのではないかと感じました。

「道草」は、漱石の私小説で、かつての養父母との関係を中心に描いた作品ですが、私はむしろ、妻との関係について深く考えさせられました。

漱石とその妻鏡子との関係を題材にしたこの小説の夫婦は、感謝や詫びの言葉をかけあわないところから互いにすれ違ったり、お互いに攻撃しあったりして、満たされない思いを膨らませている面がある一方、ここぞの時は妻が夫を慈悲深くすくいあげたりと、お互いになくてはならない存在でもあるように感じました。自分は、やはり夫婦と言えど、ありがたい時はありがとうといい、申し訳ないときはごめんといい、お互い素直な気持ちをしっかり伝え合うのが大切だと思いましたし、これから自分自身も実行して行きたいと強く思いました。

そして、そういう心持ちで「鹿の遠音」を吹くと、これがまたうまく行くのです。夫婦の情愛を描いたというこの曲は、ともすれば大きなムライキやら、迫力やら、フレーズの誇示に終始してしまいがちなのですが、そして、私自身にも少なからずそういう面があったのですが、上記のような心持ちを大切に、これからも修練を積んで行きたいと思いました。


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